PFASをめぐっては、欧米を中心に水道水中の含有量に関する基準の議論が各国で進められています。2026年4月には、日本でもPFOS・PFOAが正式な水質基準項目になりました。
この記事では、各国の規制がどのような考え方に基づいているのか、動向を整理します。
日本の規制はどう変わったか
アメリカ・EUの規制動向
今後の見通し
日本の規制はどう変わったか
日本では2020年からPFOS・PFOAの合算50ng/L以下という暫定目標値が運用されてきましたが、2024年6月の食品安全委員会による評価、2025年8月の環境省告示を経て、2026年4月1日、水道法上の正式な「水質基準」に格上げされました。これにより、水道事業者には3カ月に1度の定期検査と、基準超過時の改善が法律上義務付けられています。詳しい経緯はPFASとは何か、2026年の水道水基準改正からわかることで解説しています。
環境省が公表した最新の全国調査では、26都府県629地点で当時の暫定目標値を超過していたことも分かっています。今回の基準格上げは、こうした状況を踏まえ、管理体制を一段階引き上げるものと位置づけられます。
アメリカ・EUの規制動向
| 国・地域 | 規制の考え方 | 施行・運用時期 |
|---|---|---|
日本 | PFOS・PFOAを合算して規制 | 2026年4月施行 |
アメリカ(EPA) | 主要な物質を個別に規制 | 2024年4月最終規則発表、順次施行 |
EU | PFAS全体または対象20物質の総量で規制 | 2026年1月からモニタリング開始 |
アメリカでは2024年、EPAがPFOA・PFOSについて個別に4.0ppt以下という最大汚染基準値(MCL)を設定し、水道事業者には最大5年程度の対応猶予期間が設けられています。EUでは2026年1月から、PFAS全体で0.5μg/L以下、または対象20物質の合計で0.1μg/L以下という基準の運用が始まっています。対象物質の数や、個別・合算・総量という規制の枠組みは国によって異なるため、数値だけを単純に比較することはできません。
今後の見通し
各国とも、科学的な評価の進展にあわせて基準を継続的に見直していく方針を示しています。対象物質が今後追加される可能性や、基準値がさらに見直される可能性もあるため、環境省・厚生労働省などの公的発表を継続的に確認することが推奨されます。基準の見直しは、必ずしも「これまでの水が危険だった」ことを意味するのではなく、科学的知見の蓄積にあわせて管理体制を更新していくプロセスの一環です。
PFASは種類が数千から1万以上ともいわれる化学物質群であり、現在規制の対象となっているのはそのごく一部です。今後、対象物質の範囲がどう広がっていくか、各国の科学的評価の進み方によって左右されると考えられます。規制対象が増えれば、水道事業者に求められる検査項目や体制も変化していくことになります。
まとめ
PFAS規制は、日本を含む各国で継続的に見直されている分野です。2026年4月の国内基準化はその一つの節目であり、今後も動向を注視する価値があります。数値の大小だけでなく、それぞれの国がどのような考え方に基づいて基準を定めているかにも目を向けると、ニュース報道の理解もより深まります。SUIPUREとしての向き合い方はPFASページで継続的に更新していきます。
規制の数値は今後も変わり得ます。Water Libraryでは、変化そのものよりも「なぜ変わったのか」を伝えることを大切にしています。