日本各地で、水道管路の老朽化が課題として報じられる機会が増えています。管路の劣化は、赤水や漏水など暮らしに身近な形で表れることがあります。
この記事では、老朽化の実態を厚生労働省の統計データをもとに整理し、各家庭でできることをお伝えします。
水道管路老朽化の実態
更新が進みにくい理由
暮らしにどう表れるか
各家庭でできること
水道管路老朽化の実態
全国の水道管路の総延長は約74万kmにのぼり、このうち法定耐用年数(40年)を超えた管路は約16万kmにのぼるとされています。一方で、令和3年度の更新実績は更新延長4,723km、更新率0.64%にとどまっています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
全国の管路総延長 | 約74万km |
法定耐用年数(40年)超過の延長 | 約16万km |
令和3年度の更新率 | 0.64% |
今後20年で必要とされる年間更新延長(厚労省試算) | 約7,000km |
更新が進みにくい理由
法定耐用年数の40年を機械的に基準にすると更新対象が膨大になりすぎるため、多くの自治体では、材質(管種)ごとの実使用年数を目安にする方式に移行しています。それでも人口減少による水道料金収入の減少もあり、更新のペースを大きく上げることは容易ではないのが実情です。
材質によって「実際に使える年数」の目安は異なります。例えばダクタイル鋳鉄管は最長80年、硬質塩化ビニール管やポリエチレン管は最長60年など、実際の劣化状況に応じた基準が使われています。
更新には多額の費用がかかる一方、水道事業の収入は使用水量に応じた料金収入が基本のため、人口減少が進む地域ほど、更新費用の確保と料金水準のバランスが課題になっています。国や自治体では、広域連携による経営効率化や、計画的な更新投資を進める取り組みが行われています。
暮らしにどう表れるか
管路の劣化は、赤水(鉄さびによる着色)や漏水、まれに断水といった形で暮らしに影響することがあります。多くの場合、水道事業者による点検・更新計画のもとで管理されていますが、老朽化した地域ではこうした事象が発生する頻度がやや高まる傾向があります。地震などの災害時には、老朽化した管路ほど破損のリスクが相対的に高まるとも指摘されています。
水道管路の老朽化は全国的な課題ですが、日々使う水がすぐに危険な状態になるという話ではありません。水道事業者による水質管理・応急対応の体制のもとで、通常通り利用できます。
各家庭でできること
蛇口をひねった直後の水の色や臭いに変化がないか、時々確認する習慣を持つとよいでしょう。
赤水などが気になる場合は、お住まいの水道局に相談することができます。多くの自治体で無料の相談窓口を設けています。
配管の影響を気にせず暮らしたい場合、蛇口周りや家全体の浄水器を導入するという選択肢もあります。
まとめ
水道管路の老朽化は、更新率0.64%という数字が示すとおり、全国的に対応が急がれる課題です。ただし、日々の暮らしに直ちに危険が及ぶという話ではなく、水道事業者による管理体制のもとで通常通り利用できます。気になる変化があれば、早めに水道局へ相談することが安心につながります。数字だけを見て不安になるのではなく、お住まいの地域の取り組み状況を知っておくことが、正しい向き合い方の第一歩です。更新計画は自治体ごとに公表されていることも多いため、関心がある方は確認してみるとよいでしょう。
インフラの老朽化は地味なニュースですが、暮らしの土台を支える大切な話題です。数字の推移を淡々と追い続けることも、Water Libraryの役割だと考えています。